ユーロ導入後に訪れた波乱

1999年に導入されてから、一部では米ドルに次ぐ『第2の基軸通貨/準基軸通貨』などと呼ばれることもあるほど、ユーロは世界に影響力を持つ形となりました。
しかし導入後も様々な事象による不安が訪れたこともあり、安定していると断言することは難しいでしょう。

 

導入直後はユーロ安などの状況も見られましたが、しばらく経つと世界的に景気が良くなったこともあって、金利が比較的高いとされるユーロに世界中から外貨の資金が集まり、ユーロの価値は上がることとなりました。
ユーロ高の結果、ユーロ加盟国の経済も上向く形で発展していきます。

しかし2008年には、アメリカの大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻するという『リーマン・ショック』が発生し、ユーロもその影響で急激な下落を迎えます。

 

そして2010年に判明した『ギリシャ危機』に始まる『欧州債務危機(ユーロ危機)』と呼ばれる一連の危機が訪れました。
ギリシャ危機とは、ユーロ導入国であるギリシャ共和国の財政赤字が膨大な金額となっていることが判明し、ギリシャが財政破綻するのではないかと言われたことから、ギリシャの国債などが大幅に値を下げた事態などのことを言います。

ギリシャの問題がきっかけとなり、ユーロや他のユーロ導入国へ多大な悪影響を与えました。
外貨同士の取引が行われる外国為替市場では軒並みユーロが下落したほか、ギリシャ以外のユーロ導入国など各国の株価も揃って下落してしまいました。
そのためアイルランドやスペインでは不動産バブルの崩壊など、ポルトガルでは財政赤字拡大などの危機が訪れています。

ユーロ圏ではギリシャ危機に対し支援も検討されました。
ただし支援を行う代わり、ギリシャ政府に対して増税や公共事業削減などの緊縮財政政策を行うことを約束させるなど厳しい条件を設けることとなり、支援は行われたものの、ギリシャ国内では反発の声も強まっていきます。
そんな声を受けて2015年にギリシャに発足したのがチプラス政権です。
チプラス政権はギリシャに有利な条件を政策としてかかげ外交に当たりましたが、交渉は難航し、結果としてはギリシャの状況はさらに厳しく悪化してしまったとの見方もされています。

 

なおギリシャ危機などをふまえ、EU(欧州連合)による万が一の事態への備えの整備自体は着々と進んでいると言えます。
ただしあくまで備えられるのは“ある程度”である可能性が高く、実際に危機が起こってしまった場合、それを完全に食い止めるのはなかなか厳しいと見たほうがよいでしょう。